【いま行っとかないとつぶれそうなお店】#07 テーラーミツボシモ
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三鷹駅から10分程の穏やかな住宅街。小さな通りに沿って、凛とした佇まいのショウウィンドウが目に入る。来年で創業105年、三鷹に移り70年を迎えた「テーラーミツボシ」。三代目の山田としひこさんが伸びた背筋で出迎える。服地や裏地、縫い糸に至るまで細かな要望に応える、今では貴重なフルオーダーメイドのテーラーだ。

既製品との一番の違いは「身体に馴染む服」に仕立てられること。「同じサイズの人は幾らでもいるんだけど、生まれ育った環境や運動経験で筋肉の付き方が変わるんですよ。右利きの人は筋肉が余分に付くから右肩が下がったり、それが自然な事なんです。」体型の違いを見定めながら丁寧に寸法を測り、長く着ることのできる一着を作っていく。

スーツ一着の値段が大卒初任給の1ヶ月分もした「一張羅」の時代が過ぎ、量販店で気軽に既成品を買う人が増えた。今や武蔵野市で個人経営のテーラーは2件程しか残っていないという。それでも既成品にはない品質を求める声が確かにある。大手百貨店が次々とオーダーメイドから撤退していく中、かえってミツボシを訪ねる人が増えたという。

現在83歳。残念ながら、ミツボシは自分の代までと決めている。「富士山のてっぺんばかりじゃないっちゅうことでね。続けられる限りは続けたいけど、私も昭和15年生まれだから笑。」それでものべ数千着の洋服を手がけた、経験と技術は決して鈍ることがない。「体形をよく見てあげて、寸法をちゃんと測って、お客さんの好みを聞いてあげれば、まず間違いないんですよ。今までの経験でわかってるから。」
既製品やファストファッションの広まりで、洋服の役割も変わってきた。確かにオーダーメイドは敷居が高い。でもきっと人生に、時に寄り添い時にピシッと背筋を伸ばしてくれるような心強さが、オーダーメイドにはあるはずだ。そんな大切な一着を「テーラーミツボシ」で仕立ててみませんか?
テーラー ミツボシ
☎0422-51-5073
武蔵野市中町 3-6-19
営業時間 9:00-18:00
定休日 火