

コ:「爛漫東京」オーナー コミヤシンスケ
ジ:「HOME PLANET」オーナー 近藤ジョージ氏
タ:「イチハチマル」編集長 田口貴雪



タ:ではまず自己紹介から。
コ:初めまして。ヨドバシ裏にある「爛漫東京」のコミヤシンスケと申します。
ジ:そば屋に行くとついカツ丼を頼んでしまいます、吉祥寺在住近藤ジョージです。
コ:なにがきっかけでこんな特集を?
タ:ジョージさんと「やってくださいよ!」なんて話したのを真に受けちゃって。
ジ:真に受けていただいて光栄です。僕は皆と「なんでカツ丼が好きか」を想像したかったんですよね。そば屋に入るじゃないですか、ざるにもりにカレー南蛮、色々メニューある中で今日どうしてもカツ丼小でも良いから食べたいって時あるじゃないですか。カツ丼頬張る時のホフホフ感と豚の肉の味と、サクサク感トロトロ感…
コ:なぜそば屋のカツ丼かってのも。
ジ:なんていうんすかね、口の中を満たしてくれる、お寿司では生み出せない世界観。キラキラ光って見えるんですよ。特に蓋つきのカツ丼は。
一同:あー。
ジ:開けた瞬間のゴールデンに輝く喜び? そして香りが立って、湯気が出てる感じ? 頬張る感じ? だいたい一口が大きくなるんですけど、
コ:お腹すいたーーーーーー!!!
ジ:ちっちゃいのから大きいのまで、カットされたカツが綺麗に並んでて。
コ:親父さんのその日のテンションでね、一切れの分厚さが違ったり。
タ:脂身があるないとかね。
コ:カツも、食べてクシュなのかネチャなのか。脂身と肉のほぐれの具合とか、硬いロースだと噛んだ瞬間に衣だけが残って、中だけになったりするんですけど、それがダメってのは全くなくて、好みというか、「このカツ丼が好き」ってのは人それぞれ心の中にあると思うんですよね。
ジ:でも最初の一口への感動はみんな同じだと思うんですよ。僕は端の方から行くんすけど。
タ:あー、脂身の多い部分ですね。
ジ:中心に近い大きいサイズだと、箸使うか齧るかで、どっちにしろカットしなきゃいけない。小さいのは、そのまま掬って頬張れるっていう。
コ:掬う時に、カツを潜らせて上にご飯を乗っけるのか、米ごとこう掬うのか。
ジ:なにそれ! 僕は米ごと頬張っちゃうけど。
コ:僕はちっちゃいカツ丼は、端の切ってある断面に箸を添えて、カツを回転させながら米をドンと乗っけて食べるんです。
ジ:カツ丼業界の高砂だね。巧さがある。
コ:それで一口目で、みりんの甘さなのか、砂糖の甘さなのかで、また変わってきて。ちゃんとそばつゆの出汁を生かした、奥ゆかしさのある「まあ満腹だけど、ちゃんとそばつゆ最後まで飲み干せるわ」っていうカツ丼かとか、色々わかるわけですよ。あーお腹いっぱい、食ったわーっていう感覚、そば屋にないじゃないですか。でもカツ丼があると、幸福度が上がるっていうか。満腹感、膨満感。卵の溶き具合とか、卵の硬くなった部分がどこに溜まってるのかとか、カツ丼の魅力って深いなって、奥ゆかしさがあるなって
ジ:カツ丼のうまさって部分では、結構カテゴライズできる気がするんですよ。卵が1個使いなのか2個使いなのか、半熟か火がしっかり通ってるか。衣がお肉にくっつくタイプか、剥がれるタイプか、それからダシのひたひた具合、もうカツ煮になってるやつ、あとは、サクサク感が残ってるか。パン粉が細かいのか、大粒がガリガリ残ってるのかもありますし、もちろんご飯もツユが多い部分はやっぱりツユダクみたいになってて、少ない部分は白米のツヤ感が残ってたり。


コ:上に乗ってる付け合わせも外せないポイントですよね! 三つ葉の有り無しとか。僕は蓋がついてるタイプに関しては、もう三つ葉が乗ってるのがマストですね。あと沢庵が二切れ、蓋に挟まってちょい見せしてるのも粋だなあ。
ジ:そしてそば屋のカツ丼で、一番大事なのはだしの状態! みりんしかり、めんつゆしかり。砂糖が入ってるのか、しょっぱい系なのか、僕はしょっぱいのが好きなんですよ。甘くない方。
コ:僕らまあその、人よりも1・5倍程ボリューミーなボディじゃないですか。一日3食しか食べられない、死ぬまでにあと何食食べられるんだろう、って時に、カツ丼だけ食べるのか、カツ丼メインだけど、もりそばを頼むのか、温かいかけそばを食べるのか、他の丼とカツ丼はないと思うんですよ。蕎麦粉と米、小麦粉と米、それが結構あって、カツ丼メインで行ってる反面、皆さんがそば屋に行かれた際に頼む麺ってのを聞きたいなと思って。僕は、鴨せいろや鴨南蛮とカツ丼の組み合わせはナンセンスだと思ってて。
タ:トゥーマッチだと。
ジ:そういう意味だと、もりそばとカツ丼は一つあるかな。カツ丼セットあるくらいだから。
コ:僕セットは頼まないですよ。
ジ:それもあるんだよね! カツ丼は並の状態が美味しいから、セットの状態で来るミニカツ丼が美味しいのかどうか…
コ:クオリティを下げたくないって思いがあるから、僕はセットは絶対頼まないタイプですね。僕はどっちもちゃんと楽しみたいタイプだから、カツ丼もちゃんとフルサイズ。そして冷たいおそば。付け合わせのわさびをちょっと多めにもらって、そのわさびをカツ丼に乗っけて食べるのが好き。逸れましたが、とにかくミニはダメです。作り手のモチベーションが変わってくるんで。
タ:味が違うんだ。
ジ:でも「やぶ浅」のカツ丼はミニの方がうまい。味のクオリティが全然違うから。だしの量とか、フルだとカツがちょっとクタクタになっちゃう。ミニの方が、程よい硬さで。
コ:めちゃくちゃいい質問ですね! まずはそばから行きます。そばから行って3分の2くらい残して、カツ丼にフォーカス当てて、もうカツ丼を一生懸命食べます。食べた後に、胃の中のカツ丼の上に、追いそばするイメージ。
ジ:全く一緒です。
コ: 蓋するイメージでね! わかります??
ジ:そばでカツ丼をサンドイッチする感じでね!そしたら最後サッパリして終われるから。
タ:そしてそば湯で〆ると。
コ:ワサビのせカツ丼はマジでやって欲しいです。




タ:では最後にオススメのそば屋のカツ丼を。
コ:武蔵野市民文化会館との近くの、大正通り沿いの「なかざき」。ここやばいっす! 俺が武蔵野市で一番うまいと思ってるそば屋です。カツ丼は、飾り気なくてシンプルなんですけど、バランスが超良くてトータルしてうまい。あとは金龍亭の隣の「新海」のカツ丼。地方で食べてるみたいでチープだけどいいんだよねー。ここは冷たいおそばより、あったかいそばの方がうまいです。
ジ:僕のナンバー1は「永らく」ですね。おそばはイマイチなんですよ。カツ丼がクソうまいんですよ。割とオーソドックスなんですけど、卵多めでサクッと感があって、そばイマイチなのにカツ丼うまいじゃんって。ダシの感覚とか、ちょうどいい塩味なのが末広通りの「しなのや」。一人で黙々と食べる感じなんですけど。「中清」の場合はジャズ、流れてるから。本当に知った仲と酒を飲みに行くような。なのでカツ丼はランチだなと。油感が強くてボリューミーだから、成蹊出身ですけど、先生界隈でも「中清はカツ丼だよね」って言われてましたよ。
タ:「そばまでいけるかな?」みたいな。
ジ:そうそう卵も多めで!「中清」はグッと下に入ってくる感じで、「しなのや」は外からスッとくるような、マジで言葉で言えない笑
タ:ダシの違いとか、豚がロースかヒレかとか。
ジ:だから、パーソナルな部分の過ごし方で、どのカツ丼を食べるかは変わってくるというか。
コ:読んでる皆さんにはこれを読んだ後、是非とも理想のカツ丼を思い浮かべてほしいですね。
ジ:すみません、ヨダレが出ちゃいました。
タ:キリがないので、これで一旦〆ましょう。
一同:ごちそうさまでした。