【武蔵野都市伝説】File No.07 国立天文台の人魂
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三鷹市大沢には武蔵野の自然がまだ残っている。
野川には青鷺が立っていて、初夏には蛍が光る。
大沢には国立天文台があって、その周囲は木が繁っている。
この場所に国立天文台を作ったのは、他の場所より暗かったからだそうだ。
暗い森の中にある天文台のあたりに昔、人魂が出たらしい。
それを教えてくれたのは、何十年も大沢に住んでいる老女だった。
僕も子供のころ、家の中で人魂を見たことがある。
お盆の時期だった。風呂を出てパジャマを着替えていると、暗い廊下を青白い人魂が飛んでいた。
青く輝く炎の姿をした人魂は二階へと続く階段がある方に飛んでいった。
二階には仏壇がある。お盆だから御先祖様が人魂になって戻ってきたのかもしれない。
僕は母親がいる所に走って驚きを伝えたが、信じてくれる気配はなかった。
でも僕は今でも人魂を信じている。
国立天文台の近くの道を夜、僕は時々歩く。
まだ人魂を見たことはない。
だがこの暗い森の上には、きっと何かが飛んでいるはずだ。
人魂かもしれない。UFO かもしれない。
もしかしたら、水木しげる先生が飛んでいるのを見た、金霊という妖怪かもしれない。
何かが三鷹の夜を飛んでいる。