【武蔵野まんが道】#02

| COLUMN

前回、おじスワ(おじいさん×スワン)が誕生したのも束の間、対案づくりが再び編集部の面々を苦悩させるのだった。

タグチ(タ):我らがイチハチマル編集長。全責任が降り掛かるため、過激なアイデアには及び腰。
ハタ(ハ):編集部をまとめるアートディレクター。アート志向が強く、情緒と演出を優先しがち。
コバヤシ(コ):デザイナー。某漫画賞受賞の経験アリ。作画も担当するので苦手ジャンルを避けたがる。
ヨシダ(ヨ):デザイナー。広告制作会社出身のため、発想がセコい。すぐデータに頼る。

ハ:では、ポップへ心を入れ替えて。
コ:フェチから離れましょう。
ヨ:とにもかくにも、時代はイケメンです。なのでゾウの花子がイケメンに転生!
タ:花子は女なんだけどね。
ヨ:自分の肝臓がイケメンに擬人化したり、スワンの上でムチャしたり…
ハ:すべからくギャグマンガだね。
ヨ:あれホントだ。女性向けを考えたはずなんですけどね。おかしいですね。
ハ:そしてみんな変態だね。
コ:出オチは読み切りに合いそうですが。
タ:でも2企画とも主人公が変態なのはフリーペーパーの品位が疑われそうだよ。
ハ:スワンてたしか一羽だけオスが…
タ:いるね。
ハ:例えばそれの追っかけとかね。
コ:THE少女マンガのタッチで描くと面白いかもですね。
ハ:もう少し斜に構えたいなあ。イケメンありき、みたいにはしたくないというか。
タ:180の企画でやる必要性ある?って思っちゃうよね。
ヨ:確かに…
コ:でも逆に面白いんじゃないですか?ゴリゴリの少女漫画ぶつけたら。
タ:ベルばらみたいな?
ヨ:マーガレットみたいな?
ハ:その視点いいんじゃない? あえて少女漫画やることが、毒になってる。
コ:ではまず、わかりやすい少女漫画のテンプレを用意しましょう。
ヨ:待ってました!主人公は今をときめく花のJK。「いっけなーい遅刻!」で寝坊してパン咥えながら走ってたら街角で知らないイケメンとぶつかっちゃってそれがまさかの転校生でどうなっちゃうの私!
タ:なんか急に喋り出した。
ハ:でも見事な〝あるある〟だ。
ヨ:取り乱しました。でもこれだと単なる王道恋愛モノですけども
コ:これをベースに、登場人物や設定を変えたらいいんですよ。
ハ:主人公の友達がずっとキラキラしてるとか? 顔が見えないくらいキラッキラ。
ヨ:少女漫画特有のアレですね。
ハ:そう。なのに全然話に関わらない。
タ:とんでもなくシュールになりそう。
コ:どうせならもっと遊びたいですよね。
ヨ:愛のある弄り、毒のあるパロディ…
ハ:登場人物が全員宇宙人とか?
ヨ:早くも人間じゃなくなってる!
ハ:見たことないくらい気持ち悪い姿なのに、ド直球で青春してるから…
ヨ:気づいたら応援しちゃう!
ハ:興奮したら身体から変な液体が出てくるとかね。
コ:その星では全然気持ち悪くない。
タ:ただの生理現象か。
ハ:同級生みんなバラバラだといいよね。
コ:触手、浮遊、液体、概念、宇宙…
ヨ:JKダコがパンを咥えて走ってたら、液体イケメンにぶつかって…
ハ:「おい! お前のせいで身体にめり込んだだろ!」って
ヨ:これは間違いなくポップ。
タ:じゃあ対案は「宇宙人ラブコメ」に決定で。次回以降の流れはどうする?
ヨ:えーっと、2案分のプロットを制作して、どっちで行くかを判断?
コ:ですね。細部はそこで詰めましょう。
ハ:作画担当がどんな宇宙人を生み出してくれるか、楽しみだなあ。
コ:とても気が重いです。