【武蔵野都市伝説】File No.01 ピンクの■■■■

| COLUMN

かつてオカルトの聖地だった街、吉祥寺。
しかし時は令和。妖怪の類には世知辛いデジタル社会である。まだ、彼らの居場所は残っているだろうか。
取材の最中、ある目撃情報を耳にした。現在まで判明している情報を、読者の皆さんに公開する。これを糸口に、全容が詳らかになることを願って…。
一人目の目撃談は、週に2度程吉祥寺を訪れる30代の男性だった。

「あの日は、一軒目を出て、ハモニカ横丁の方からホテルニューヨークの方へ歩いていた時でした。サンロードを抜けてロータリーに差し掛かった時、電話ボックスの横に…」

「いたんです…ピンクのおじさんが」

彼は「これ以上は」と繰り返しながら、何かを避けるようにサンロードの奥へと消えていった。
 二人目は、ハモニカで飲食店を営む20代の女性。

「ええ、確かに見たことが。 間違いなくピンクだったのは覚えてるんですが、それ以外は…どうしてでしょう。全然思い出せないんです」

不自然な程曖昧な自身の記憶に戸惑い、女性の顔は次第に恐怖で歪んでいった…。
 現時点では、都市伝説の解明に繋がる確かな情報は得られなかった。まるで、そこだけピンクに塗りつぶされてしまったような…。

目撃情報をお持ちの方がいたら、ぜひお寄せ頂きたい。